NHK BS プレミアム 番組
ドキュメンタリードラマ
青い目の少年兵 知られざる日中戦争の物語
8月13日(土)22:00〜23:29
身体に落ちてくるような、編集が見事なドラマ。
田中泯はナレーションをつとめます。
激烈をきわめた日中戦争のなかに奇跡のような実話がある。1943年の秋、中国西部、雲南省の奥地で日本軍と中国・国民党軍は白兵戦を繰り返していた。ある夜、日本軍の陣地に何故か一人の中国人少年兵が紛れ込んだ。怯える少年兵を前に、居合わせた10人の日本兵たちは意外な決断を下した。日本軍の軍服を着せて少年を匿い、命を救おうというのである。敵兵を匿うことは軍紀違反、覚悟をきめての決断だった。少年は弾丸運び係として日本兵に同行、国民党軍との戦闘で左目を失明したが、日本軍部隊を離れることはなかった。兵士たちの誰もが、弟のように彼を可愛がり、気遣っていたからだ。45年8月、終戦で日本軍は武装解除され、中国人である少年は故郷へ戻された。だが、2ヶ月後、復員するため部隊が集結していたバンコクに、突然、少年は姿を現した。「別れ」を告げるために行方を尋ねて来たのだ。兵士たちは最後の金品を出し合い、左目を失った少年に義眼を贈ることを決めた。手に入ったのは白人用の「青い義眼」。少年は青い瞳をおさめ、何度も左目を手のひらで隠しては開けていた。「サヨナラ サヨナラ」と言いながら。番組では少年兵のいのちを救った元日本兵の証言を軸に、日本兵たちが中国雲南省の密林をさまよい歩く日々をドラマで展開し、この奇跡の物語を描いていく。
「兵士であるのか」「人間であるのか」戦争という極限の状況下で、日本兵たちの気持ちはどう変わっていったのか。「一兵卒が生きた戦争とはいかなるものだったのか」「人間の本質とはなにか」。物語のなかでは、当初は、命を救ったはずの少年の存在が、逆に、兵士たちの心のなかに、人間性を蘇らせる存在と変わっていく。
構成・演出は久保田直(「ダッカ・ハイジャック事件」でATPグランプリ受賞。ソリッドジャム)主演は阿部力(「花より男子」シリーズ・中国人の父と中国系ハーフの母を持つ)