日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞が決定!
<第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>
11月24日に実写日本映画興行収入(興収)記録を22年ぶりに更新し、21日には181億円を突破した「国宝」が作品賞、李相日監督(51)の監督賞、吉沢亮(31)の主演男優賞はじめ、史上最多の6冠に輝いた。 李監督は、22年の前作「流浪の月」で受賞して以来、2度目の監督賞を受賞。主演男優賞の吉沢、助演男優賞の田中泯(80)、助演女優賞の瀧内公美(36)、石原裕次郎新人賞の黒川想矢(16)は、日刊スポーツ映画大賞で初の受賞。中でも黒川は、前回の齋藤潤の最年少記録を1歳更新する、16歳で石原裕次郎新人賞を受賞。かつ、史上初の満票で栄冠に輝く快挙を成し遂げた。
【映画大賞】「国宝」田中泯が助演男優賞 スチール撮影の際に感じた自分自身の変化と手応え
<第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>
第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞が28日に発表された。助演男優賞は「国宝」で人間国宝の女形を演じた田中泯(80)が受賞した。
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02年の映画「たそがれ清兵衛」で俳優デビューし、翌03年の日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞してから22年。田中泯は映画として久しぶりの個人賞の受賞となった。「本当に、本当にうれしい評価。正直、ビックリ」と驚いた。
人間の世界に踊りが生まれたことに憧れ、芸術になる前の踊りを探り、自由に踊ってきた。一方、形あるものに違和感を覚え「伝統や常識から逃げるように」生きてきた。踊りと言葉が融合した、形ある歌舞伎に関わる仕事が来るとは「思ってもみなかった」という。
しかも、演じた小野川万菊は当代随一の女形で、人間国宝という役どころ。最初は「てんで、ピンとこなかった」という。スチール撮影の際、かつら、メーク、衣装の「プロ中のプロの人が1人の男が女に変わっていくところを、女性を扱うように」手がけてくれた。鏡を見る前に「自分自身が変わった、これで行ける」と感じたという。
「鷺娘」を振り付けた日本舞踊家の谷口裕和氏から、撮影後も日本舞踊を一から習い続けている。「歩くだけの練習をやっています。自分の踊りの歴史の何ページ目かの、すごく重要な切り替わり」を、田中自身が誰よりも楽しんでいる。【村上幸将】
◆田中泯(たなか・みん)1945年(昭20)3月10日、東京生まれ。64年東京五輪の芸術イベントで初舞台を踏み、65年に東京教育大(現筑波大)を中退し66年にソロダンス活動開始。74年には芸術になる前の踊りを探ろうと体毛をそり、局部を布で巻く裸体舞踊で独自の活動を始めた。02年「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)で映画デビューし、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞。

